ハートふるメッセージ

荒川区西日暮里の神経科・心療内科・精神療法・カウンセリング・薬物療法の倉岡クリニックがお送りする、心に響くメッセージブログです
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141.物忘れをしなくなる方法
 

最近物忘れが多くなったという人は、私を含めてまわりに多い。年齢的なものもあるが、世の中が便利になって、人間のやるべき仕事を機械が代行してくれるようになり、あまり頭を使わなくてもよくなると、脳は機能を低下させてしまう。

 

例えば、昔は友達の電話番号や自宅、学校、会社や取引先、その他大切な人の電話番号などはよく覚えていたものである。今ではケータイが普及して、電話番号はすべてメモリーに記憶されている。だからどこへかけるにも指先の操作だけでつながってしまう。

 

電話番号を憶えていなくても電話がかけられるのというのは、便利この上ないのだが、その分、脳はいままでやっていた仕事をさせてもらえないため、記憶する能力はいっきにダウンしてしまうのである。

 

人の記憶は、記銘、保持、追想、再認というプロセスを経て完成する。

 

記銘とは、ものや人の名前など、記憶する対象となるものを明確に意識することである。すなわちこれは財布だ、手帳だ、通帳だなどと、そのものであることをきちんと確認することである。そして保持とは、記銘により確認した内容を、脳の神経細胞の中にストックすることである。これらはほぼ同時に行われる。

 

追想とは、記銘・保持した内容を思い出す作業であり、再認とは、思い出した内容を最初に記銘・保持した内容と同じであるかどうか確認して、再び記憶した内容を意識の上に上らせることである。

 

もっとわかりやすく説明しよう。運送業者が商品をトラックで倉庫に運び、保管する状況をイメージしてほしい。運ばれた商品を、記憶する内容とおきかえてみる。

 

倉庫に着いたらトラックから商品を降ろし、フォークリフトで倉庫の中へ搬送する。

 

この際、商品を運んできたトラックの運転手は、倉庫の係員に商品の内容と個数を伝え、納品書を渡す。これを受け取った倉庫の係員は、内容を確認して運転手に受領書を渡す。この行為が記憶では記銘ということになる。

 

次に、商品はフォークリフトで倉庫内に運ばれ、所定の位置に保管される。これが記憶では保持ということになる。

日を改めて商品が必要となった時、トラックの運転手は、先日受け取った受領書を持って倉庫にいき、倉庫の係員にみせて商品を運び出すことを伝える。倉庫の係員は受領書を見て商品を確認し、フォークリフトで倉庫から商品を運んでくる。これが追想にあたる。

 

そして、倉庫から運び出された商品が以前、トラックの運転手が持ち込んだものと同じものであることを確認する。これが再認にあたる。このようにして記憶は完成するのである。

この流れのどこかがうまくいかないと、記憶はできなくなる。

 

記憶の障害には、記銘の障害と追想の障害がある。記銘の障害は、記憶の入り口の障害であり、新しいことがらが憶えられないことである。追想の障害は、記憶したものを思い出せないという障害で、健忘といわれるものである。

 

倉庫のたとえでいえば、記銘障害は商品を倉庫に持っていっても、係員がいなくて商品が倉庫に入らないことであり、追想の障害は倉庫にあった商品をフォークリフトで外に運び出せないでいる状態である。

 

歳をとると、人は新しいものごとが理解できなかったり、憶えられなかったりする。古い記憶は残っていて、昔の話をさせるといきいきとして話し始めるが、これは追想の障害ではなく、記銘の障害なのである。しかし、認知症になると、最終的には追想も障害される。

 

物忘れをしないためには、この記銘、保持、追想、再認という記憶のプロセスを、スムーズに動かしていくことが大切である。

 

脳の神経細胞は活動を繰り返すことによって、その機能が強化される特徴がある。普通、物は使うと減ってしまいなくなるものであるが、脳は適切に使えば使うほど能力は増していくのである。脳の神経回路は使えば使うほど、スムーズに速く処理することが出来るようになるのである。

 

学習するということは、神経回路に痕跡を残すことであり、これが記憶となって蓄積される。物忘れをしなくなる方法は、物を憶える習慣を作ることであり、そのことで神経回路は活性化される。さらに記憶の出し入れを頻回に行い、神経回路が太くなることによって、記憶情報の流れが良くなるのである。

 

具体的には、忘れてしまったことをそのままにしていないで、思い出すまで根気よく努力することである。思い出せないからもういいやとあきらめないことである。思い出す練習を繰り返すことによって、記憶の回路が太くなり、物忘れが減っていくのである

ハートふるメッセージ | 12:36 | - | -

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