ハートふるメッセージ

荒川区西日暮里の神経科・心療内科・精神療法・カウンセリング・薬物療法の倉岡クリニックがお送りする、心に響くメッセージブログです
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152.一年の計は元旦にあり
 

「一年の計は元旦にあり」という。これは毛利元就の言葉として有名であるが、この言葉の意味するところは、「元旦に一年の計画を立てよ」というのではなく、彼の意図したことは、何事も最初が肝心ということらしい。戦国武将として正月のお祝いの席で浮かれる家来に対して言った戒めの言葉である。

 

一年の計は初春の1月にあり(陰暦では123月は春)、一月の計は朔(陰暦のついたち)にあり、一日の計は鶏鳴(一番鶏が鳴く早朝)にありという。だから一年の計は元旦にあり、一月の計は一日(ついたち)にあり、一日の計は早朝にあるということになる。

 

何事にも遅れをとっていたら生き延びることができない、戦国武将の厳しさを現わした言葉である。しかしこれは戦国時代に限らず、いつの時代にも大切な心得である。

 

人は何かを始めるときどうしても躊躇することがある。うまくいかなかったらどうしよう、失敗したら立ち直れないかもしれない。でも今のままではどうにもならない。やるしかないのだが、最初の一歩がなかなか踏み出せない。あせればあせるほど身動きがとれなくなる。膠着した気持ちのまま時間だけがむなしく過ぎていく。

 

多くの人はこのような経験をしたことがあるのではないだろうか。いま実際にそういった状況にある人もいるかもしれない。わたしも学生の頃、試験前になるといつも一夜漬けであった。なんでもっと早く始めておかなかったのかといつも後悔ばかりしていた。

 

確かに早く始めた方が、行動するための時間的な余裕があり、迷った時も落ち着いて判断することができ、物事を成功に導く確率は高くなる。そんなことは言われなくても分かっていると言われそうだが、でもどうやったらそのような自分になれるのか。

 

ある健康に関する講演会で、食生活や日頃の運動がとても大切であると教わった聴衆の一人が、講演会が終わった直後、会場の通路にうつ伏せになり、いきなり腕立て伏せを始めたという。

 

講演会に参加した聴衆の多くは、講演内容に感動して、家に帰ったらすぐにも教わった事を実践しようとおもうだろう。でもその感動の気持ちは、家に近づくにつれて冷めてくる。

家に帰ると明日から始めようと思い、明日になるとふだんの雑用にかまけて、また先に延ばすようになり、それを繰り返して、結局何もしないまま講演会で学んだことは消えてしまうのである。

感動や記憶は時間とともに薄らいでいくものである。だから感動を受けて記憶したことは、その感動を色あせさせないためにも、その場で腕立て伏せを始めた人のように、その内容をすぐに実行にうつして記憶にとどめることである。

 

何かを始めるとき最初が肝心といわれても、その最初の一歩がなかなか始められないものである。その一歩が千里もあるのではないかとさえ思えてしまう。

 

話は変わるが、入社試験のときなどに、内田・クレペリン連続加算テストを受けたことがある人もいると思う。これを開発したエミール・クレペリンは、ドイツの有名な精神科医であり、早発性痴呆と躁うつ病の疾患単位を確立して、精神疾患の分類を行った、近代精神医学の草分け的存在である。

 

このテストのやり方についての説明は省くが、目的は注意力や作業への順応性、作業に対する疲労度などを調べて、被検者の性格特徴を探ろうとするものである。

 

テストの結果を分析していく中で見えてきたことは、同じ作業を繰り返しているのであるから、時間とともに疲労などにより、作業効率が下がってしまうのではないかと予想されたにも関わらず、作業後半の疲れが出ているときの方が、かえって作業効率が高くなっていることが多くの人で見出された。

 

これは被検者の性格特徴もさることながら、これとは別に、人にはそういった精神機能があるのではないかと推測され、これを作業興奮という言葉で表現した。脳科学が進歩してきた現代では、その中枢が脳の側坐核という部位であることが分かっている。

 

つまり何かを始めると、最初は戸惑いや不適応があるかもしれないが、繰り返しやっているとそのことに順応して、その作業をうまくこなせるようになるということである。

 

やる気が起きない時、とにかく何かを始めてしまえば、最初は順応出来なくても、やり続けていると、しだいにやる気が出てきて思いの外出来てしまい、気がついたときには終わっていたということもある。

 

「やってみなはれ」と松下幸之助さんはいう。やってみなければ出来るかどうかわからない。やり始めたらそのことに順応するまで止めないことである。順応出来ればさらに意欲が出てくるのである。楽しくなるのである。「継続は力なり」ともいう。

ハートふるメッセージ | 17:52 | - | -

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