2008.07.21 Monday
わたしのクリニックは、神経科、心療内科でこころの病気を対象に
治療を行っています。
毎日の診療のなかで、患者さんからの質問でよく耳にするのが、
「先生、誰でも生きていれば憂うつになったり、やる気がなくな
ったり、眠れなかったりしますよね。これはうつ病なのですか?」
というご質問です。
確かに、うつ病になるとやる気がなくなる、気分がふさぎこんで憂うつ
な感じがしたり、億劫になり、身の回りの普通にできていたことまで、
できなくなってしまうことがあります。
でも、これはうつ病でなくても起こる場合があります。
例えば、試験で不合格になった、信頼していた人に裏切られた、上司や
部下とうまく行かない、親友と仲たがいして仲直りができない、彼
(彼女)にふられた、さらには親、兄弟の死に遭遇した場合、愛する
配偶者や子供の死など、その人にとってとても辛いことがあるときです。
最初は悲しさ、寂しさ、不安、怒り、絶望感などの感情が頭の中をかけ
めぐりますが、しだいに無力感が支配的になり、何もする気がしない、
身体を動かすのもやっと、食事もとれず、茫然自失の状態に陥り、
こころのエネルギーが枯渇した状態になってしまいます。
これはまさにうつ病の症状なのですが、これらの辛い状態も時間がたち、
月日が経つにつれて、少しずつではありますが回復してきて、普段の
こころの状態にもどってしまえば、それは反応性のうつ状態であり、
うつ病とはいえないのです。
すなわち、うつ状態を起こしてしまう何らかの原因があって、その原因
にこころが反応してうつ症状を起こしてしまったのです。普通に生活
していても、長い人生の中でこのようなことは、いやでも何回かは経験
することですね。
それではうつ病とどう違うのかというと、うつ病の場合のうつ状態は、
その人が今までに経験したことがないような強いものであり、さらに
その症状が今までに経験したことがないくらい長く続いてしまうもの
なのです。
反応性のうつ状態は、きっかけとなった事柄(イベント)がなくなると
自然に回復してきますが、うつ病の場合、きっかけとなった事柄
(イベント)がなくなっても、いったん始まったうつ症状は改善する
ことはありません。
うつ症状の感じ方に本質的な差異はないのですが、うつ病の場合、その
感じ方は極端であり、放っておいて良くなることはなく、抑うつ状態が
しだいに進行して、絶望感が極限に達すると、死んだほうがましだ、
死ぬと今の苦しみから解放されるのではないかと思ってしまうように
なります。
そうなると怖いのは自殺ということになります。日本の自殺者の数は
3万人を超え、交通事故による死者数の3倍といわれています。
自殺する人すべてがうつ病というわけではありませんが、自殺する時の
精神状態はうつ状態であることに違いはないでしょう。
うつ状態になったとき、それがうつ病によるうつ状態なのか、何かうつ
になる原因があってうつ状態になった、いわゆる反応性のうつ状態なの
かは、自分では判断しにくいものです。
さらに混乱するのは、うつ病が発症する場合、思い当たるきっかけや
原因と思われるものが見当たらない場合と、いわゆる反応性のうつ状態
のように、はっきりした原因やきっかけがある場合もあるのです。
自分でうつ状態を感じたら、あるいはまわりの人からそのような指摘を
うけたら、『自分はうつなんかにはならない。』『自分だけは大丈夫』
と決め付けないで、一度専門医にご相談ください。
治療を行っています。
毎日の診療のなかで、患者さんからの質問でよく耳にするのが、
「先生、誰でも生きていれば憂うつになったり、やる気がなくな
ったり、眠れなかったりしますよね。これはうつ病なのですか?」
というご質問です。
確かに、うつ病になるとやる気がなくなる、気分がふさぎこんで憂うつ
な感じがしたり、億劫になり、身の回りの普通にできていたことまで、
できなくなってしまうことがあります。
でも、これはうつ病でなくても起こる場合があります。
例えば、試験で不合格になった、信頼していた人に裏切られた、上司や
部下とうまく行かない、親友と仲たがいして仲直りができない、彼
(彼女)にふられた、さらには親、兄弟の死に遭遇した場合、愛する
配偶者や子供の死など、その人にとってとても辛いことがあるときです。
最初は悲しさ、寂しさ、不安、怒り、絶望感などの感情が頭の中をかけ
めぐりますが、しだいに無力感が支配的になり、何もする気がしない、
身体を動かすのもやっと、食事もとれず、茫然自失の状態に陥り、
こころのエネルギーが枯渇した状態になってしまいます。
これはまさにうつ病の症状なのですが、これらの辛い状態も時間がたち、
月日が経つにつれて、少しずつではありますが回復してきて、普段の
こころの状態にもどってしまえば、それは反応性のうつ状態であり、
うつ病とはいえないのです。
すなわち、うつ状態を起こしてしまう何らかの原因があって、その原因
にこころが反応してうつ症状を起こしてしまったのです。普通に生活
していても、長い人生の中でこのようなことは、いやでも何回かは経験
することですね。
それではうつ病とどう違うのかというと、うつ病の場合のうつ状態は、
その人が今までに経験したことがないような強いものであり、さらに
その症状が今までに経験したことがないくらい長く続いてしまうもの
なのです。
反応性のうつ状態は、きっかけとなった事柄(イベント)がなくなると
自然に回復してきますが、うつ病の場合、きっかけとなった事柄
(イベント)がなくなっても、いったん始まったうつ症状は改善する
ことはありません。
うつ症状の感じ方に本質的な差異はないのですが、うつ病の場合、その
感じ方は極端であり、放っておいて良くなることはなく、抑うつ状態が
しだいに進行して、絶望感が極限に達すると、死んだほうがましだ、
死ぬと今の苦しみから解放されるのではないかと思ってしまうように
なります。
そうなると怖いのは自殺ということになります。日本の自殺者の数は
3万人を超え、交通事故による死者数の3倍といわれています。
自殺する人すべてがうつ病というわけではありませんが、自殺する時の
精神状態はうつ状態であることに違いはないでしょう。
うつ状態になったとき、それがうつ病によるうつ状態なのか、何かうつ
になる原因があってうつ状態になった、いわゆる反応性のうつ状態なの
かは、自分では判断しにくいものです。
さらに混乱するのは、うつ病が発症する場合、思い当たるきっかけや
原因と思われるものが見当たらない場合と、いわゆる反応性のうつ状態
のように、はっきりした原因やきっかけがある場合もあるのです。
自分でうつ状態を感じたら、あるいはまわりの人からそのような指摘を
うけたら、『自分はうつなんかにはならない。』『自分だけは大丈夫』
と決め付けないで、一度専門医にご相談ください。
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