ハートふるメッセージ

荒川区西日暮里の神経科・心療内科・精神療法・カウンセリング・薬物療法の倉岡クリニックがお送りする、心に響くメッセージブログです
128.正しい選択ーその2
記憶にはもう一つ特徴があります。それは、いやな気持をもたらした
原因や事実は無意識の領域に封じ込めて、表面的には忘れることが
できたとしても、その時に感じた、いやな気分だけが、感情の記憶と
して残ってしまうということです。

言い方を変えると、いやな感情をもたらした原因となる事実と、その
ことによってもたらされた感情が、別々に記憶されるということです。

そして感情の記憶は、身の回りのささいな刺激でよみがえってきます。
多くの場合、その刺激が楽しいことがあれば、楽しい気分を思い出し、
いやなことであれば、いやな気持ちが思い起こされてしまうのです。

しかし、ストレスになるような刺激であれば、それが何であれ、刺激と
なりうるのです。例えば温度の変化、音の変化、光の変化などの物理
化学的刺激でも、感情の記憶を呼び覚ます刺激にはなるのです。

今ある自分は、過去にどのような生き方をしてきたのか、どのような
考え方をしてきたのか、それによって決まってきます。過去に辛い
生き方、自分を否定するような考え方で生きてきた人は、現在は決して
幸せを感じることはできないでしょう。

しかし、いやなことがあっても、あまりそのことにこだわらないで、
「ま、いいか。」とサラッと受け流して、楽しい気分になるよう、
考え方を変えることのできた人は、幸せな気持ちを感じていられる
のではないでしょうか。

つまり、自らが意識して楽しい気持ちになるように気持ちを切り替え、
いやな気分に襲われても、楽しいことを思い出したり、楽しい気持ち
を感じるように、こころを切り替えていくことで、いつも楽しい気分
でいられるように訓練しながら、そのことを意識して繰り返すことに
よって、楽しい気持ちだけがこころの中に植えつけられ、記憶されて
いくのです。

こういう考え方は、なかなか受け入れがたいものかもしれません。
わたしたちの脳は良いことも悪いことも区別せず、頭に浮かんだこと
は、すべて意識しないでも記憶にとどめているのです。

ですから、いま辛いと思っている人は、自分で意識しないで、辛い
感情を繰り返し学習してきたことになるのです。

だとするなら、幸せな気持ち、楽しい感情をいつもこころに思い
浮かべることを選択し、それを意識して繰り返していると、楽しい
気持ちがこころに定着して、いつも幸せを感じていることができる
ようになるのではないでしょうか。

そしていやな気持、不快な感情がこころに浮かんだら、意識して楽しい
気持ちに切り換える練習をしていけば、いつもハッピーな気分で過ごせ
るようになるのです。

「そんなことできっこない。それはそうかもしれないけど、そんなこと
は自分にはできないよ。」という人がいたら、そのとおり、できないと
いうことをこころが学習して、できないまま、これからも今までどおり
の生き方を繰り返すことになります。

不快な感情がこころに浮かんだときは、周りのすべてが不愉快で、嫌で、
辛く、情けない気持ちになります。こんなつらいときに気持ちを切り
替えて、楽しいことを思ったり、想像したりすることはできるのでしょう
か。どうすれば気持ちを切り替えることができるのでしょうか。

まずは、いま、自分はどんなこころの状態にいるのか、それを自分自身
が気がつかなければなりません。つまり気持ちを切り替えるためには、
切り換える対象となるものをはっきりと認識しなくてはならないのです。
そして認識したら、ぐずぐずしないでつぎの行動に移ります。

あなたのこころにいま、不快な気持がこころに浮かんでいれば、それを
打ち消そうと努力するのではなく、気持ちを切り替えるために、他の
ことに注意を向ける練習をします。こころに浮かんだ不快な場面を、
ほかの場面に転換するのです。

たとえば、ちょっとお使いに行く、部屋の片づけやお掃除を始める、
好きな本を声を出して読む、誰かに電話をかけるなど、気持ちが他に
転換するようにこころがけて、不快な気持でいる時間をなるべく少なく
していきます。

不快なまま時間を過ごすと、不快な感情がこころにとどまって、記憶
されてしまい、つらい感情が起きやすいこころの状態を作ってしまう
からです。

そして、できれば過去に楽しかったことや、うれしかったことを思い
出すように心がけて、それらの楽しい気持ちがなるべく長く保てるよう
に意識して繰り返します。

人には記憶する能力と忘却する能力があります。快適で楽しい感情は、
繰り返し体験することによって記憶にとどめ、いつでもそれを思い出
させるようにします。

そして、不快で思い出したくない感情は、なるべく意識の上に登らせ
ないようにします。

「去る者日々に疎し」という言葉があります。とても親しくしていた人
でも、転勤や引っ越しなどで、お付き合いすることが無くなってくると、
その人に対して持っていた気持ちも、だんだんと薄らいでしまい、
いつのまにか忘れ去ってしまいます。

嫌な気持ちや、辛い気持もこころに思い出さなければ、消えてしまう
のです。嫌なことや辛いことを経験したという事実は記憶に残って
いても、その時に味わった嫌な感情はなくなっているのです。
ハートふるメッセージ | 20:06 | - | -
127.正しい選択ーその1
いま、あなたは幸せですか。そして楽しい気分を味わってますか。
それとも自分は不幸せだと思い、辛くみじめな気分ですか。

人には自分が幸せだと感じている人と、不幸せだと感じている人が
います。また、同じ人でも幸せを感じる時と、そうでない時があり
ます。それは何故なのでしょう。

そして、わたしたちがいつも幸せを感じながら、過ごしていくため
には、どうしたらいいのでしょうか。

幸せを感じている人は、願う事はほとんどすべて実現して、自分が
思ってるように人生を楽しみ、愉快で快適で、笑い声が絶えない日々
を送っています。

しかし、自分が不幸せと思っている人は、何をやってもうまくいかず、
一生懸命努力しても報われず、不平不満が絶えず、不愉快で情けない
気持ちに襲われています。

どうしてそういうことが起こるのでしょうか?

多くの人は幸せであること、不幸であること、そして、ついてる、
ついてないなどということは、自分では操作できないことだと思って
います。ですから、それは運命であって、そういう星の下に生まれて
きたのだから、仕方のないこととあきらめてしまいます。

でも運命であるとあきらめきれない人は、他人のせいにしたり、自分
のせいにして、他人を非難したり、自分を責めたりします。

あいつさえいなければ幸せになれたのに、もっと自分に能力があって、
頑張ることができていたら幸せになっていたのにと。しかしいくら
他人を非難しても、いくら自分を責めても、事態は好転しないのです。
どうしたらいいのでしょうか。

ここからが大切なことですが、実は、幸せも不幸せもわたしたち自身
が、自分で意図しないで、それらにつながる出来事の原因を作って
いるのです。これはとても受け入れがたい考え方かもしれませんが、
いちど受け入れてしまえば、その時点から世の中を見る目が変わって
きます。

「冗談じゃない、自分が不幸になるようなことを自分でするわけが
ないだろう。みんな幸せになりたいのに、幸せになろうとすると、
邪魔する奴らが必ず出てくるんだ。世の中というものはそういう
ものだ。いままでもそうだったし、これからもきっとそうだ。」と
反論されそうです。

それでもあえていいます。わたしたち自身が自ら原因を作っている
のです。

物事には原因があるから、その原因によって生じる結果が存在します。
これは誰もが認めるところでしょう。高い所から飛び下りれば、幸せ
な人も不幸な人も同じように、怪我をするか、骨折するか、場合に
よっては死んでしまいます。

海に落ちて泳げなければ、溺れて死んでしまいます。車に轢かれれば、
良くて外傷や骨折で済みますが、下手をすると死んでしまいます。
当然幸せな人も、不幸な人も区別はありません。これが自然界の法則
ですね。

実はこれと同じように、こころの世界にも、このような原因と結果の
法則があるのです。誰でもついているときは、何をやってもうまく
いきます。でもついてないときは、何をしてもうまくいかないものです。
うまくいっている時は、うまくいく原因があります。そして、うまく
いかないときは、うまくいかない原因があるのです。

朝、目覚まし時計が鳴ったので止めようとします。しかし手が滑って
時計を床に落として壊してしまいました。「チクショー」という思いで
いやな気分になります。

ベッドから起き上がり、洗面所に行こうとすると、ベッドの脚に自分の
足の小指を、しこたまぶつけてしまいました。「イテテテー」「何で
こうなんだよ」と頭にきます。

洗面所で歯を磨こうとすると、歯磨きのチューブが空っぽで出てきま
せん。昨日、帰りにコンビニで買っておけばよかったと悔やんでしま
います。

こんな日は会社に行っても、仕事がうまくいかないことが多いのでは
ないでしょうか。今日はついてないと思いますよね。

でも朝起きて、たまたま目覚まし時計を落っことして壊してしまった
としても、「チクショー」という気分にならないで、壊してしまった
のはしかたない、修理に出せば済むことだと思って、気持ちを切り替え、
いやな気分にならないように自分の気持ちをコントロールできたら、
次からの禍は起きなかったのではないでしょうか。

人には学習する能力があります。学習するという行為は、同じ思いや
考えを、何度も何度も繰り返して、頭の中に思い浮かべる練習をする
ことです。繰り返すことによって考えていることが記憶されます。
さらに繰り返すことによって記憶は強化され、確かなものになって
いきます。

憶えておいて欲しいことは、人は知識のみを学習して記憶するのでは
なく、感情も学習して記憶してしまうということです。だから楽しい
こと、うれしいことがあれば、その時の気持ちを学習してこころに
とどめます。でも残念なことですが、いやな気持や、辛い、悲しい、
苦しいという感情もこころは記憶してしまうのです。
ハートふるメッセージ | 19:54 | - | -
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