ハートふるメッセージ

荒川区西日暮里の神経科・心療内科・精神療法・カウンセリング・薬物療法の倉岡クリニックがお送りする、心に響くメッセージブログです
139.生きているだけでまるもうけ
いまやテレビ界の大御所である、明石家さんまさんの娘さんの名前は、「いまる」さんというそうである。変わった名前だなと思っていたら、ある時テレビでさんまさんが「いまる」という名前を付けた理由を話していた。「生きているだけでまるもうけ」というところから名づけたそうである。

「まるもうけ」とはいかにも関西の人らしい表現であるが、その意味するところは「ありがたい」とか「感謝している」とか、そういう気持ちなのだろう。つまり「生きているということは何と感謝すべき、ありがたいことなのだろう。」という気持ちを、心底感じているさんまさんなりの人生哲学なのではないだろうか。

生きている、だだそれだけで感謝の気持ちを感じることのできる人は、それまでの人生の中で、さまざまな苦労を味わい、もだえ苦しんで、その苦しみの中から這い上がってきた、いわゆる苦労人といわれる人たちに多い。

苦労や努力を嫌い、知恵を学びとろうとせず、自分の環境から逃げ出した人には、苦労して這い上がってきた人たちの流してきた、血と汗と涙の部分については決して理解できず、あの人はなんて幸せなのだろう、運が良いのだろうと、表面的な結果だけを見て思うのである。

人生で成功を収めた人たちは、必ず強い信念を持ち、幾多の困難を克服し、粘り強く努力してきた人たちであり、このような経過を踏まえないで、偶然成功に至ることは決してありえない。物事には必ず原因があって、それに伴う結果は必ず生じるのである。

聖書の中に『種と実』のたとえ話があり、イエスは「良い種をまけば、良い実が結ぶ。悪い種をまけば、悪い実が結ぶ。」といっている。これはジェームス・アレンのいう「原因と結果の法則」の原型であり、非常に分かりやすい。

種をまいて水をやる。まず若葉が出て、それから葉の数が増える。茎も大きくなり、枝が増えさらに大きくなる。水と肥料は欠かせず、雑草を取らなければ栄養を奪われてしまう。ほどよく日光にあてて、雨風からも守ってやらねばならない。やがて蕾ができて花が咲く。それから実がなるのである。種をまいて実がなるまでは、相当の時間がかかるのである。

これと一緒で、努力という種をまいても、努力の花が咲いて実がなるまで、相当の時間がかかることを理解しなければならない。

無事に努力の実がなるまで、怠け心という雑草がはびこって、貪欲な心や不純な欲望に、エネルギーを吸いとられることのないようにしながら、意欲という肥料を入れて、誘惑という雨風から、自分自身を守っていかなければならないのである。そのようにしてはじめて立派な努力の実がなるのである。

とうもろこしの種からは必ずとうもろこしができる。とうもろこしの種からかぼちゃができることはないのである。自然界のこの法則は誰もが知っているが、この同じ法則が人生にも当てはまることを、ちゃんと理解している人はとても少ない。

このように正しい思いの種からは、喜びや幸せという実がなり、誤った思いの種からは、苦悩や不幸という実がなるのである。

正しい思いの種から苦悩や不幸という実がなることはなく、誤った思いの種から喜びや幸せという実がなることはないのである。これはとても公平なことである。

いま自分が不幸であるとか、苦悩に満ちていると思っている人は、人生の何処かで不用意にも、不幸の種を蒔いてしまったに違いない。それが何処であるか、どのようなものであるか、いまさら探してみても始まらない。何故ならすでに実がなっているからである。

過去にさかのぼって種を植え替えることはできないが、これから正しい種をまき続けることができれば、必ず幸せの実を得ることができるのである。

いまの不幸の実はほうっておくと、自然に枯れて、腐れて土に戻ってしまうのである。触らないことである。これを何とかしようといじくり回していると、そのことが再び不幸の種になって、心の中で成長してしまう可能性がある。

『明日はどうにかなると思ってはいけない。今日手に入らないものは、どれだけ時が経っても、決して手に入れることはできないだろう。なぜならそれは、昨日もそう思ったことだからだ。』これはシチリアのことわざである。

明日はどうにかなると思うときには、どうにかなるための努力をしていなければならない。いまの不安から逃れるための、自分自身に対する言い訳として、どうにかなると思ってもそのための準備がなければ、どうにもならないのは明白である。

いますぐしあわせの種をまこう。しあわせの実は約束されている。
ハートふるメッセージ | 19:45 | - | -
138.門松は冥土の旅の一里塚
「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」。これはご存知、一休宗純の「狂雲集」にある有名な句の一つである。そしてこれは一休さんらしいアイロニーでもあるが、さすがになるほどと思わせるうまい表現である。

私の年齢になるとこれからどう生きるかということももちろん大切だが、どんな死に方をすれば良いのかの方がむしろ気になってしまう。

正月から縁起でもないこととお叱りを受けるかも知れないが、昔は今のように満年齢を使うのではなく数え年を使ったので、正月になると誰でも一つ歳を取ったことになる。だからという訳でもないのだが、年の初めにあたって、歳をとることの意味、さらには生きることの意味、死ぬことの意味を、考えてもおかしくはないだろう。

誰でも歳をとることを返上することはできない。どんなに偉い人も、そうでない人も平等に歳をとる。金持ちも貧乏人も区別はない。さらに、生まれてきたときにすでに死ぬことが決まっているのであるから、じたばたしても始まらない。

私たちの生命というものはもともと与えられたものである。自分の意志でこの世に生まれ出でた人は一人もいないのである。気がついたらすでに生まれていたわけであるから、いくら生まれてこなければ良かったと思っても、もう遅いのである。つまり自分の意志というものは、自分の人生でありながら自分の生死については全く感知できないのである。

だとするならば、与えられた人生をいかに生きていくのか、どのような生き方が自分にとってふさわしいのか、さらにどのように死んでいったらいいのかなどを決めるのは、自分の意志によるのだから、このことに関しては、ありがたいことに自分に裁量権があるのである。

ここで勘違いしてはいけないことがある。人には生まれる、生まれないの自由はないが、生まれてしまったあと、自分の意志で死ぬことはできる。だから自殺するのは人の裁量権であると主張して、それを容認する人がいることである。過去10年、自殺者の数は3万人を超えているという。残念なことである。

よく人は、精神的に追い詰められると「こんなに辛いのなら死んだほうがましだ」という。長い人生には一度や二度ならず、そのように思ってしまうこともあるだろう。しかし、死んだ経験もないのに、どうして「死んだほうがましだ」といえるのだろうか。死んで生き返った人がいて、その人に死んだあとの世界の事を教えてもらったとでもいうのだろうか。

いや、そうではなくて、人が「死んだほうがましだ」と口にするときは、その人が死ぬことを人生最大の苦痛であると捉えているため、いま感じている辛さが、その死ぬことよりも辛いのだという心情を表現しているに過ぎないのである。

どの宗教も自殺については厳しく禁止している。わたしたちは人を殺してはならないように自分を殺してはならないのである。死後の世界がどのようなものであれ、現実の世界をないがしろにしてはならないのである。

自分の命は、自分が自分自身の意志で創り出したものではない、与えられたものである。ある時、偶然にも自分がこの世に存在しているのに気がつくのである。自分をこの世に送り出した存在とは、神といってもいい、創造主といってもいい、偉大な存在といってもいいが、わたしたちの五感では認知できない存在である。

もちろん、肉体は両親の遺伝子を受け継いで生まれてくるが、両親が最先端の科学技術を駆使して子どもを創り出したものではない。両親が子どもの遺伝子を創造したわけでもない。その両親もまた、さらにその両親から遺伝子を受け継ぎ生まれてきたのである。

わたしたちは生命、すなわち遺伝子というバトンを両親から受け取り、自分の人生を一生懸命走りぬいて、自分の子どもにそのバトンを渡して死んでいくのである。これは地球上に生命が始まってから現在に至るまで、営々と続けられている生命の営みである。わたしたちはそのように創られているのである。この現実を踏まえてから生きる意味を問わなければならない。

生きることの意味や死ぬことの意味は、人によって違うのは当たり前であるが、どのように生きるのか、どのような死を迎えるのか、自分なりの考えを持っていることは、とても大切なことである。

『たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日わたしはりんごの木を植える。』

これは16世紀、宗教改革を行い、ルーテル教会を創設したマルチン・ルターの言葉である。理屈っぽい人からすると、明日世界が滅んでしまうのに、今日りんごの木を植えても意味がないということになる。

しかしそうではなく、りんごの木を植えるという作業は、将来に希望を持つことの象徴である。いまがどんな辛い状況であろうとも、将来に希望を持ち続けることが、いかに大切であるかを教えているのである。
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