「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」―これはウイリアム・ジェームスの言葉である。すなわち心が変われば、最終的には運命までも変わってしまうというのである。
わたしたちは日常の生活の中で、いまの自分の生活に満足している人はほとんどいないのではないかと思う。何とか今の自分を変えたい、将来の自分を変えてみたいと願う人がほとんどではないだろうか。
そうはいっても現実問題として、どのように自分を変えてみたいのかと問うとはっきり答えられない人がほとんどである。自分をどのように変えたいのかという具体的なビジョンというものを持っていない。さらに自分を変えるための具体的な方法や手段がわからないのである。
変わらなくてはいけない、何とかしなければと焦ってはみるものの、具体的に行動に移さなければ変化は起こらず、当然のことながらいつまで経ってもいまの現実がそのまま続いてしまう。そうなるとさらに焦ることになり、ストレスがたまり精神的に不安定になってしまう。
すると精神的に不安定になるよりは、変わらなくてもいまの現実を受け入れてしまったほうが精神的に安心できると思うので、結果的に何もしない、何もできない、現状維持ということで終わってしまう。
今の自分を変えるためには考え方を変える必要がある。しかし、考え方を変えるというと不安になる人がいるので、新しい考え方を導入する、今までの自分になかった考え方を、自分のこころに追加してみると考えると、不安にならなくて済むのではないか。
今までの自分はそのまま持っていても、新しい自分を創っていくことに何ら矛盾はない。何故なら、いままでの自分を壊してしまって、新たな自分を再構築するのではなく、いままでの自分とは無関係に、新しい考え方を自分に付け加えていくからである。そうすれば、自分の可能性をどんどん増やすことができる。限度はないのである。
人は生きているだけでいろんな体験や経験をするものである。自分の気持ちとは無関係に、自分の身の回りで勝手にいろんなことが起こってしまい、対処せざるを得なくなる。そして対処することの経験を積み重ねることで、自分を創りだしているのである。
この身の回りで起こった様々な体験や経験を、いままでの自分のやり方とは全く違う新しいやり方で積み重ねていけば、新たな自分の意思に沿った、新しい自分を創り上げていくことができるのである。
それでは新しい自分を創るためにはいったいどうしたらいいのだろうか。
人にはいろんな考え方があり、思考のパターンも様々である。体験や経験に対する反応の仕方にも個人差があり一概には言えないが、共通していえることはいままでとはまったく逆の選択をしてみるということである。しかもこころを快適に変えるためには、ポジティブな選択をすることである。いままで「NO」といっていたことに対して「YES」といってみるのである。
いままでの自分と違う選択をするとなると、どうしても心に抵抗が生じてくる。それはおかしい、受け入れられない、という気持ちが起きるのは当然である。そして受け入れるとしたら、それを納得するための根拠を求めようとするのがふつうの流れである。
しかし、そのようなこころの反応はストレスを生じて不快感を覚え、新しい自分を創造する足を引っ張ることになる。ここで悩み、思考が止ってしまうと、結局はもとの自分に戻ってしまうのである。
自分を変えたいと思うのなら、何の根拠もなくそうすべきである。そうしないと変わらないのである。いちいち変わるための理由や言い訳を考えていると物事が進まなくなる。
セオドア・ルーズベルトは「『できるか』と聞かれたらいつでも『もちろん』と返事することだ。それから懸命にやり方を見つければよい。」と言っている。
人は人生のいろいろな場面で選択を迫られるものである。なかなか決められなくて立ち往生することもあるだろうが、決断しなければ前に進めないのである。
決断した結果がうまくいかなければ、ダメージが小さいうちに、早急に次の決断をしなければならないのである。ヘンリー・フォードは「失敗とは、よりよい方法で再挑戦するいい機会である。」と言っている。
人生は選択して決断することのくり返しである。この回数が多ければ多いほどその人に生きていくための知恵や能力が付いてくるのである。